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総合目次と説明

主に官能小説と下ネタです。
M男ものは特別好きなので、別ブログにて掲載中 → ぷるんぷるるん
ツイッターはこちら


それぞれ目次の記事へとリンクしています。

幼馴染とエロ愉しく過ごす日々 目次へ
 短編連作。幼馴染とエッチする小説

生と死、精と子 目次へ
 ドタバタエロコメディ。
 兄「お兄ちゃん大好き……(裏声)」の新装版です。色々変わってます。
※(一話を前編/後編に区切って連載する事にしました。
  目次への追加は後編の投稿と共に行います)

先輩は堕天使になりたい 目次へ
 堕天使になりたい先輩にエッチなことをする小説

平和なファンタジー 目次へ
 短編連作


当ブログに掲載している小説の一部は「pixiv」「ノクターンノベルズ」にも掲載しています。


謎の下ネタ記事
下着と神秘
音の響き。「ヴァギナ」は強そう。「ペニス」は弱そう。


以下はSSです。

兄「お兄ちゃん大好き……(裏声)」目次へ
 未完。
 下ネタとラブコメ。
SS速報VIPに投稿に投稿していたものをまとめました

男「美少女に囲まれた暮らし、か……」
 
SS速報Rにて投稿していたものをまとめました

転載しているSSに関して問題があれば、掲載を取り下げます。


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生と死、精と子#12(前半)


 程なくして駆けつけた由宇さんが俺とペロリィヌを見やって呟いた。

「まさか本当に見つけ出してしまうとは……」

「俺の溢れ出る魅力の成せる技だぜ」

「……まさか、その犬耳に引き寄せられて現れたとでも言うのか?」

「そのまさかだと思うぞ。俺がこれを付けてぷらぷらしているところへ駆け寄って来たからな。他に考えられる原因も無いし……」

「にわかには信じられんが、まあ良い。依頼が解決したことには変わりないからな」

 その通りだ、と言わんばかりに俺は尊大に頷いてみせた。

「……それは良いのだが、これからどうするんだ?」

「依頼者の下へ向かうよ。見つけたらいつでも良いからすぐに来てくれと言われているんでね。ちょっと連絡だけ入れるから少し待っていてくれ」



 承諾が得られたので、俺と由宇さんはペロリィヌを連れて、依頼人の家へと向かった。

「ほうほう。なかなか立派な家だな。俺の妄想通り……って事は……てひっ、ひひひ……」

 お嬢様風の女の子に「貴方が見つけてくれたのですね! ありがとうございます!」なーんて言われたり、抱き付かれたりするのではなかろうか。
 お礼に何でもしますだなんて言われたらどうしようか。とりあえずスカートめくりでもさせてもらうか!?

「……涎を拭け」

 そう言ってハンカチを差し出す由宇さんは引いた表情を浮かべていた。
 少しぐらい夢を見たって良いじゃないか。とは声に出さず、口元を拭った。

「あまり妙な事を口走るんじゃないぞ?」

「分かってるよ」

「先に言っておくが……ご家族が留守らしくてな、君と同い年くらいの少女が応対してくれるらしい。良いか? 変な事は言うんじゃないぞ? ……言ってる傍から涎を垂らすんじゃない。全く、これではどっちが犬か分からんな」

 由宇さんがそんな事をぼやくと、ペロリィヌは一声鳴いた後、俺を見上げて首を傾げた。バター犬みたいな名前の癖に、賢いじゃないか。
 だがな、人間が勝っている点は頭脳ばかりではないのだぞ? 指先の器用さだ。ふふっ、舌を使って愛でることは出来ても、指で女の子を愛でることは出来まい。それが貴様の弱点だ、ペロリィヌ!
 犬相手に妙な闘争心を燃やしつつ、由宇さんの後に続いて依頼人の家まで歩いた。
 なかなか立派な家だな。ペット探しに探偵を使うぐらいなのだから、裕福な家庭なのだろうか。俺は依頼者の住まいを見上げてそんな事を考えていた。
 由宇さんがインターフォンのスイッチ押し、そのまま二、三言交わした。
 程なくして玄関の扉が開いた。

「え……? ええっ!?」

 俺は驚愕に声を上げた。

生と死、精と子#11

 外へと繰り出した俺達は、しばらく二人で彷徨った後、二手に分かれた。
 依頼者曰く、大人しい犬との事だが、俺達は飼い主ではない。それゆえ素直に従ってくれるとは限らない。やや力技で捕獲する必要が出るかも知れない。それに際して人手が足りないと困る、という事で由宇さんから通信装置を貰った。
 それは小さなスイッチで、探している犬が見つかったら押すように告げられている。ふふっ、独自の装置とは……探偵らしくなってきたじゃねぇか。俺は少し楽しくなりながら、犬探しを続ける。
 そうは言っても、ぶらぶら歩いているばかりだ。せめてどこではぐれたのかなどの情報は聞いておくべきだったな……。
 それにしても、犬の名前、『ペロリィヌ』とは、まるでバター犬を連想させるような名前だな。一時は品の良いお嬢さんが飼い主であると妄想したが、それはあくまでも妄想だ。果たしてどんな奴がペロリィヌなんて名前を付けたのだろうか。
 などと考えていた時だ。
 
 俺は道路の先に茶色の毛が生えた、ふさふさとした何かを見つける。近付いて見ると、それは犬の耳を模した飾りのついたカチューシャだった。犬、猫、その他の動物も併せて耳には大差がない。俺が犬耳だと思ったのは、犬探しの最中だからだ。
 犬耳カチューシャを拾い上げて考える。
 犬探し……犬がどこに居るのかを知るには、犬になり切るのが得策なのではなかろうか。
 俺はおもむろに犬耳を装着した。

「これで俺は今から犬だワン」

 などと呟いてみる。ふふっ、俺の姿に萌える人々の姿が目に浮かぶようだ。
 イケメンに犬属性を付随するなんて、贅沢だろう?
 俺は自分自身に酔い痴れながらしばらく道を歩く。犬になり切っていれば、その内にペロリィヌは見つかるはずだ。
 ……見つかるはずだ。
 ……きっと見つかる。
 ……見つかるのか?
 ……見つかる訳がなかった。
 こんな阿呆な方法で見つかるのであれば、苦労はしない。探偵はいらない。
 俺は現実を直視して、少し憂鬱な気分になった。
 そろそろ真面目にやるか。そうは言っても闇雲に動いても仕方あるまい。俺はあれこれと考え始める。
 誰かに保護されているのなら、野外を探しても無駄だ。聞き込みの必要がある。しかし、小さな市とは言え全ての家を一軒一軒回るのは不可能だ。それをやるのなら、犬と飼い主がはぐれた地点を中心にするのが効率が良いだろう。
 人に保護されていないとすれば、それは即ち、人目の付かない場所に犬が居ると言うことだ。今時野良犬なんて珍しいからな、大勢の目に付きながら犬が単独で彷徨い続けるのは不可能だろう。
 どちらの可能性が高いかは何とも言えないが、はぐれた地点が分からない以上、後者の仮説に基づいて動くしかない。人目の付かない場所か。町外れの公園にでも行って見るか。
 捜索の方針が定まったところで、俺はふと、白い何かがこちらに向かって来るのに気付いた。
 その場でじっと目を凝らす。遠目には分かりづらいが、白い何かはとんでもない勢いでこちらに近付いて来ていた。
 やがてそれが犬だと分かる。ひょっとしてペロリィヌか?
 俺は由宇さんから預かった写真を見やる。何だか似ている気がしないでもない。
 果たして――と俺は顔を上げて、小さく悲鳴を上げた。
 こちらへ向かって来る犬は凄まじい形相を浮かべていた。
 獲物を追う猛獣の顔だ。
 獲物と言っても、それは食い物と見なしているのではない。あれは、交尾の相手を見つけた雄の表情だ。
 なんなのか。
 俺は背後を見やった。雌犬でも居るのだろうか。
 犬どころか人影すらない。何もない平坦な道が続いているのみだ。
 それでは一体何を目掛けてあの犬はこちらに向かってきているのか。
 ……まさか。
 俺は付けっぱなしにしていた犬耳カチューシャの存在を思い出した。
 た、確かに俺は性別どころか種の垣根すら越えて、あらゆる存在を魅了してしまうようなイケメンだが、まさかあいつは俺に対して発情しているのか?
 視線を戻すと、ペロリィヌに見えなくもない犬は、すぐそこにまで迫っていた。

「ひっ……」

 近くで見ると、そいつは一層凶悪な顔をしている様に思えた。
 雄の本能に支配された狂気の面構えだ。
 不味いぞ。大きさから見て、全力で殴り飛ばせば勝てる相手には違いないが、ペロリィヌに似ているのだ。依頼人のペットに怪我をさせる訳にはいかない。
 ……ここは戦術的撤退だな。
 少し走らせて疲れたところを捕獲して、それからペロリィヌなのか確認すれば良かろう。

「俺のスピードについて来られるか――なぶあっ!?」

 駆け出したのとほぼ同時に、背に飛び掛られる。俺は体勢を崩して、うつ伏せに倒れ込む。背後から犬が圧し掛かってきた。

「やっ、やめろっ!」

 俺は叫ぶが言葉の通じる相手ではない。ケツに何かがリズミカルに押し当てられている。うん。そうか。そうだろうな。
 あんな顔をしていたのだから、相手を組み伏せられれば、そうするよな。
 雲子には申し訳ないが、ジャージを穿いていて助かった。
 マント一枚の出で立ちの時に今と同じ状況に置かれたら……と、想像するだけでゾッとする。下手をすれば童貞よりも先に処女を失っていたかも知れない。しかも獣姦だ。
 ま、それはさておき、どうしたもんか。
 前述の通り、どことなくペロリィヌの面影があるのだ。
 もしもの可能性を考えると、あまり乱暴な扱いは出来まい。
 背中に乗ったその犬が、激しく腰を振りながら「ハッハッハッ」と荒い息を吐くのを聞きながら、俺はある事を思い出した。
 餌だ。色気より食い気と言う慣用句が動物にも通じるのかは分からないが、物は試しだ。俺はポケットから缶詰を取り出して、封を切った。コンッ、と音を立てて脇に置く。
 それでもしばらくは腰を振っていたが、不意に俺の身から離れて、缶詰へと向かって行った。
 実際に交尾を行っている訳でもないからなあ。などと考えながら、むくりと身を起こす。
 ハグハグと勢い良く餌を貪っている白い犬をそっと引き寄せて、首元を見る。首輪はきちんと締められていた。ネームプレートには『ペロリィヌ』とある。
 なんだ? まるでバター犬にでも付けるような名前だな……。

「ん、いや待て。ペロリィヌ……? という事は、こいつが探していた迷子の犬か。ぶっ飛ばさなくて正解だったらしいな」

 俺はペロリィヌが逃げ出さないようにしっかりと首輪を掴みつつ、由宇さんから渡されているスイッチを押した。



つづく!

生と死、精と子#10

 互いに顔を見合わせ、俺達は弱々しく笑みを浮かべた。

「そう言えば、俺に用があったんじゃないのか?」

 不幸な事故が起こったせいで忘れ掛けていたところを切り出す。
 桃子ちゃんは、そうそうと頷きながらこう言った。

「お前、バイトしないか?」

「バイト?」

「ああ。昨日のあいつ、覚えているか?」

「あいつって……由宇さんか?」

 俺が問うと、桃子ちゃんは眉をしかめた。

「あいつにさん付けなんて要らないぞ。……まあ、とにかくあいつがな、助手が欲しいんだと」

「助手って、昨日もチラッと聞いたが……一体何のだよ」

「探偵だ」

「た、探偵?」

「ああ。と言っても、漫画やアニメの世界じゃないからな。地味な仕事らしいが……」

「おいおい、ちょっと待てよ。探偵の助手って言ったら可愛い女の子の特権だろう? 確かに俺は可愛さも兼ね備えたナイスガイだが……」

「だから言ってるだろう。漫画やアニメの世界じゃないって。それと、お前に可愛さは無いと思うぞ」

 俺は少し考え込んだ。
 探偵の助手、と言うのはさておきとして、バイトをするのは悪くない。いつまで実家から離れていれば良いのかは分からないが、今のままでは何かと不便だ。女の子とデートをするのにも先立つ物が必要だろう。
 何よりバイトをしていれば交友関係も広がるはずだ。可愛い女の子とのムフフなハプニングだって発生するかも知れない。
 総じてメリットの方が大きい様な気がするが、どうだろうか。
 ともかく、由宇さん本人からも話を聞かないと何とも言えないか。

「……どうだ、とりあえず話だけでも聞きに行くか? 私もアイツが何をやっているのか、それほど詳しくは知らないからな。ここで話していても仕方ないだろう」

 桃子ちゃんの提案に乗ることにしよう。



 学校を出て、駅前の繁華街へと向かった。
 桃子ちゃんの先導に従って、やや寂れた通りに面する雑居ビルへと足を踏み入れた。埃っぽい階段から見るに、そう繁盛している訳ではなさそうだ。
 いくつかの会社事務所と思しき扉に混じって、彼女の『藤林探偵事務所』はあった。桃子ちゃんがガンガンと扉を叩く。インタホーンは無いのか。
 ややして扉が開き、由宇さんが顔を出す。
 昨夜と同じく男装をしている彼女は、俺と桃子ちゃんを見ると微笑を浮かべた。

「良く来たな。さあ、二人とも中に入ってくれ」

「……いや、私は遠慮しておく。そんなに暇でも無いんでね」

 と、桃子ちゃん。
 由宇さんは残念そうな顔をしつつも「そうか」と頷いた。
 この二人、微妙な距離感だな。などと考えながらも俺が口を挟むことでも無いので、黙って桃子ちゃんを見送った。
 それから由宇さんに促されて事務所に入る。室内には古そうではあるが、同時に高級そうでもある調度品が並んでいた。
 俺が物珍しげにきょろきょろとしていると、由宇さんは窓辺まで歩いていった。振り返り、こう言った。

「ようこそ、私の探偵事務所へ」

 彼女の顔には得意げな笑みが浮かんでいる。格好付けているらしい。
 凡人がやれば苦笑いしてしまいそうな所作だが、由宇さんの場合は中々様になっている。整った容姿に因るところが大きいのだろう。独特の男装も悪くない。
 俺は調子を合わせるように言った。

「へへっ、よろしくお願いしますよ、探偵さん」

「うむ。……と言いたいところだがね、君を雇うには条件があるんだ」

「お、試験か何かあるのか? ドンと来い。おっぱいの上手な揉み方なら毎晩シミュレーションしてるぜ!」

「……試験では無い。いや、よしんば試験だとして、おっぱいの揉み方が問われる試験なんて絶対に無いだろ」

「揉むほど無いだろ」

 それは反射的に口から出た言葉だった。やべっ、と思う間もなく、睨み付けられ、俺は素直に謝った。尻は最高ですよ、と付け足しておいた。
 由宇さんは溜息を吐いてから言う。

「君はちょっと本能的過ぎるんじゃないか。……まあ良い。人格矯正は親や教師に任せるとして、条件に関するところへ話を戻そう。簡単なことだ。出来高報酬になるが、それに納得出来るかが聞きたかったんだ」

「出来高か……」

「ああ。以前にも助手を雇っていたことはあるのだがね、どうも私は苦手なんだよ、あれこれと指示するのが。そうかと言って全く放っておいても使いものにならなくてな。経営に関するところは……私には責任も決定権もないのだがね」

「ん?」

「オーナーが別に居るんだ。と言っても、殆どの事は私が自由にやっている」

「そうなのか? その割には由宇さんの苗字が事務所の名前に入っているじゃないか。藤林って。あ、そうか、そのオーナーが親戚か何かなのか?」

 俺がそう訊ねると、由宇さんは少し考えてから頷いた。
 どこかぎこちない反応だが、深くは追求しないでおこう。愛人めいた関係の出資者が居るなんて言われたら落ち込みそうだからな。
 代わりに俺は言った。
 
「出来高の件ならオーケーだぜ。むしろそっちの方が効率良く稼げるだろ?」

「……仕事の内容も聞いていない状況で良くそこまで自信が持てるな、君」

「ふっ……。俺は自信と容姿だけが取り柄……いや、他にも色々と良いところはあるけどな」

「つまり自信だけが取り柄って事か」

 どうしてそうなるのか。
 まあ良い。これも深くは追求しないでおくぜ。

「とにかく、出来高制に納得してくれるならそれで良い」

「ああ。って事は、雇ってくれるのか?」

「無論だ。人手が欲しかったからな。ところで、これから時間は大丈夫か?」

「ああ」

 帰ったところで何も無い部屋が待っているだけだからな。
 ナンパに繰り出すにしても、このジャージじゃあな。成果は高が知れているだろう。俺が精神的に強くなるぐらいに違いない。

「実はな、ちょうど今入っている仕事があるんだよ。何事も習うより慣れろと言うだろう?」

 そうかも知れないが、と俺は自分の装いを改めて見やる。
 手首、足首は大きく露出している。加えて腹チラだ。
 一体何をするのかは分からないが、何をするにも目立ち過ぎるのではないだろうか。セクシー過ぎるだろう。
 
「服装はそのままでも問題ないぞ。いや、問題はあるのかも知れないが……仕事に支障は出ないはずだ」

「……そうなのか?」

「ああ。何せ迷子のペット探しだからな」

「なるほどな……」

「動物は好きか?」

「頭だけの亀となら毎晩遊んでるぜ?」

「……何なんだ、それは。呪いの類か?」

 遠回しに『亀頭弄り』の事を口にしたのだが通じなかったらしい。
 確かに亀の生首と毎晩遊んでいる姿を想像すると、黒魔術的だ。

「亀の頭ってのは、おちんぽの例えだったんだがな、つまりオナニーだ」

 それを聞いて由宇さんはしかめっ面を浮かべた。
 叱られるのではないかと俺は身構えるが、彼女は溜息を漏らしてこう言った。

「まあ仕方ないか。君は若い」

 由宇さんも充分に若いと思うが……などと考えていると、彼女がネクタイを緩め始めた。ほんの僅かにだが、首元に肌色が広がった。
 たったそれだけで俺は鼻息を荒くさせてしまう。由宇さんが言う通りに俺は若いのかも知れない。

「少しすっきりさせてやろうか? そうムラムラしていては仕事に集中出来ないだろう」

 と、彼女が言いながらこちらに向かって来る。
 俺は少しの間、言葉の意味が理解出来ずにきょとんとしていた。
 ムラムラをすっきりさせるって言ったら、アレしかないよな?
 身体が一瞬の内に熱を帯びる。
 由宇さんの浮かべる笑みが、妙に艶やかに思えて仕方ない。
 俺は後ずさりながら声を上げる。

「ち、ち、痴女!」

「失礼な。締め技の一つや二つでも掛けてやれば、妙な気も削ぎ落ちるだろう?」

「なんだよ……そんな事かよ……」

「ふっ。君は意外に純情なのか?」

 俺は言葉に詰まった。確かに由宇さんぐらいに綺麗な痴女に襲われるのなら願ったり叶ったりのはずだが……。ひょっとして俺はへたれって奴なのか?
 いや、違う違う。お、襲われるよりも襲いたいだけだ。そうだ、そうに違いないのだ。俺がそんな事を考えている内に由宇さんはネクタイ締め直していた。

「まあ良い。ほら、これが写真な」

 そう言って手渡された写真は、一匹の犬が写ったものだった。
 犬種を言い当てられる程の知識は無い。白い毛の賢そうな犬だ。
 ふむう、とその写真を見つめながら俺は想像を膨らませる。この犬に似合う飼い主の美少女を思い描く。何故美少女かと言えば、その方が楽しいからだ。
 小型犬であれば今時の若い女が個人で飼っている様なイメージが浮かぶが、中型のこの犬の場合は家族に飼われていそうだ。品の良いそこそこの上流家庭の一人娘。大人しそうなお嬢様然とした美少女!
 俺は妄想の世界に突入しつつあったが、由宇さんの声で現実へと引き戻された。

「名前はペロリィヌだ。……ああ、それからこれは、その子が好きな食べ物らしい。役に立つかは分からないが、持っておけ」

 缶詰を受け取る。由宇さんが言う通り、役に立つとは思えんが……。動物、殊更に犬となれば与えたものは大体食べてしまうのが俺の持つイメージだ。

「行くぞ」

 そう言って事務所を出る由宇さんの後に続く。
 さて、どうなる事やら……と言っても、なる様にしかならないだろうな。出たとこ勝負だぜ。


11話目へつづく!

生と死、精と子#9


「高宮、お前……なんで女子のジャージなんて着てるんだよ。サイズ合ってなくてピッチピチしてるじゃねぇか。見苦しいぞ」

 教室に戻るなり益垣がそんな事を言いながら近寄ってきた。俺は少々ムッとしつつ「お前の顔ほど見苦しいものはこの世にない」と返した。
 確かにジャージは袖も裾も、全く丈が足りていないが、俺はいつだって格好良いのだ。
 ふんっ、と鼻を鳴らしつつ自分の席にふんぞり返る。
 俺の態度で益垣もさっさと離れていく――かと思いきや、まだ話しかけてくる。

「な、なあ? どうなんだ、女子のジャージの着心地って……っていうか、匂い嗅いでも良いか? なあ」

 言うが早いか、益垣は俺の二の腕の辺りに顔を寄せた。彼の顔が見る間に赤く染まる。興奮しているのだろうか。顔を上げてこう言った。

「ちょっとトイレに行ってくる」

 興奮していたらしい。
 やれやれ、お盛んなことで。たかだかジャージの匂いだけで……と、俺は先程自分が更衣室でパンティーの匂いを嗅ぐか否かを悩んでいた事を思い出して、益垣を馬鹿にする権利が無いことに気付く。ちっ、まあ良い。
 とにかくこれで服は確保出来たのだ。
 ちらりと男尻を見やる。奴は口惜しそうな表情をしていた。



 多少の不便はあったもののマントに比べれば随分マシだ。
 今日一日、ジャージで生活をした所感はそんなところだった。
 放課後になり、俺はこれからどうすべきかを悩んでいた。
 まずは制服を取りに実家へ行くべきか。いや、食料確保の為に動くべきか、流石に毎晩桃子ちゃんのもとへ押しかけるのも気が引けるからな。キスをしてもらう為に彼女作りもしなくてはならない。
 やるべき事は山積みだった。
 ま、授業中にたっぷりと睡眠を取ったおかげで身体は元気一杯だ。股間も元気だ。今ならどんな困難にだって立ち向かえる気がするぜ。
 
 さて、何から手を付けるか。
 俺は少し考え、霧衣に会いに行くことにした。瑛は取り合ってくれないかも知れないが、霧衣からであれば実家がどうなっているのか聞き出せるだろう。
 一年の教室へと向かう道すがら、他所の学年やクラスの連中がすれ違う度に俺を二度見した。もしくは驚きの声を上げた。イケメン過ぎるのか?
 ふんふんと鼻歌を鳴らしながら、俺は瑛の所属する教室までやって来た。
 瑛は、今まさに帰ろうとしているところだった。鞄を肩に掛けた彼女が教室から出てくるところに俺が現れたのだ。
 目をぱちくりさせていた瑛だが、急に悲しげな顔になり、こちらへ駆け寄ってきた。

「お兄ちゃん、あの――」

 言葉は途切れ、瑛は体勢を崩し、ふらりと倒れ込んで来る。慌てて抱き止める。腕の中で瑛が声を上げる。

「悪い。少し切り替えに失敗した」

 これは瑛の言葉でなく霧衣のものなのだろう。身体の支配権を瑛から奪うのにしくじり、彼女は体勢を崩したらしい。

「おいおい、気をつけてくれよ。頭でも打って記憶を失ったら……」

 記憶を失ったら、俺達は恋人同士である、と嘘を吹き込んでもバレないだろうか。

「何だ? ……ああ、いや。やっぱり言わんで良い。どうせろくでもない事を思い付いたのだろう? それより私の聞け。昨日は大変な目に遭った」

 そうして始まったのは、杜撰な家庭裁判の後の話だった。
 俺が家を出た後も熱狂する近隣住民と両親は、あの勢いのまま今度は「帰宅反対デモ」を始めたらしい。一体誰に何を訴え掛けようと言うのか、さっぱり意味が分からない。
 とにかく危ない、と霧衣は言う。今頃、武装まで始めているのではないかと不安になる程の熱狂ぶりだったと付け加えた。

「流石にそれは無いだろうが……まあ、事情は分かった。制服は一度諦めなければならないか……」

「制服?」

「ああ、ちょっと色々とあってな。寝床は確保したのだが、今度は服を失ったんだよ」

「……? 何があった?」

 今度は俺の番か。一体何から話せば良いのか分からないぐらいに色々とあったからなあ。少々面倒だ。しかし、そうも言っていられない。事情を知っている味方は霧衣ぐらいだからな。
 かくかくしかじか――俺は占い師の少女との不思議な出会いと、その後に部屋を与えられたこと、それから朝になって全裸にされていたことを掻い摘んで話した。

「ほう……そんな事があったのか……。いや、何から何までイマイチ信用出来ないがな。占いに追剥にって、現実離れしすぎだ。お前の両親と言い、人間世界って怖いな」

 霧衣からそんな頼りないお言葉を戴きつつ、俺はふと気になって訊ねた。

「なあ、占いだとか……その他のオカルティックなものって、全部嘘か? それとも本物も混じっているのか?」

「む? うーん……。なんとも言えんな。私は神ではないのだ。人間界についてもそう詳しくは無い。ただまあ……確かに極々稀に特異な能力を持つ者が現れるのは事実だ。占いに関しては分からんな。人間の作った技術だ。もしかすると現代科学では解明されていない力が作用しているかも知れないし、何もかもでたらめかも知れない」

「そうか……」

 意味があるのは、極々稀に本物が居ると言う部分だけで、後はお前本当に天使なのかと言わざるを得ないような内容だった。少しがっかりだ。
 そんな思いが表情に出ていたのか、霧衣は俺を見て少々ムッとしている。彼女が反撃とばかりにこう口にする。

「それよりお前、あっちはどうなっている? しっかり進んでいるんだろうな?」

「……」

「何とか言え」

「何とか」

「……あのな、お前は本当に分かっているのか? もう二日目の夕方だぞ? もたもたしていると手遅れになるぞ? アレだろ、お前、夏休みの宿題もギリギリまで手を付けないタイプだろ。それから試験前に一夜漬けを試みるタイプでもあるだろ」

「答えはどっちもノーだぜ」

 何せテストは適当に受けているし、夏休みの宿題はそもそも真面目にやった事が無い。
 いや、小学生の頃だが、自由研究だけはしっかりとやっていたな。毎年「女子高生・女子大生に“赤ちゃんはどこから来るの?”と男子小学生が質問した時の反応」と言うテーマでレポートを書いていた記憶がある。大体の子は一瞬顔を赤らめてから「コウノトリさんが運んで来るんだよ」などと答えてくれた。レポートは主にそうした恥じらいと年長者ぶる彼女達の様子を観察した結果についてだ。
 因みに、女の子の中には「お母さんとお父さんが仲良くしてると生まれるんだよ」とやや際どいところまで答えてくれる子もいた。ああ、それから「ES細胞で男同士でも子作り可能! 野郎セックス見せろし!」などと言われた事もあった。
 最後のは、うん、今ならBL趣味の少女だったと分かるが、当時はどう言う意味かと真剣に悩んだものだ。
 そんなことを思い出して、霧衣に教えてやった。
 彼女は何故か外人風に驚いた。オー、クレイジー。ま、俺もそれは否定しないが……。

「いや、馬鹿な話をしている場合じゃない。真面目にやらないと本当に酷い目に遭うんだぞ? いや、遭うだけならまだ良い。永遠に地獄に閉じ込められるんだぞ? 分かってるのか?」

「分かってるよ……。しかしな、こんなつんつるてんのジャージで女の子と良い雰囲気になるなんて無理だろ」

「そこはお前、知力でカバー……は出来そうにないから、内面で勝負だ。男はハートが一番……それも難しそうだな。ふむ……運だよ、運でどうにかしろ」

 無茶苦茶だ。

「それにほら、あっちを見てみろ」

 霧衣が指した方向を見やる。曲がり角から顔だけを出した桃子ちゃんの姿があった。俺と目が合うと彼女はすぐに引っ込んでしまう。何か用だろうか? 首を傾げていると、霧衣にこう言われた。

「あの子、お前に気があるんじゃないのか?」

「いや……アレがさっき話した占い師の女の子だ。どうも人見知りらしくてな」

「ふむ。何か用があるみたいだな。切りも良いし……そろそろ私は引っ込むとするか。馬鹿ばかりやってないで、真面目にキスの為に動けよ? 後で泣き付かれても困るからな? ああ、それと日用品を取りに家に帰ってくるとしても、もう少し待て。また明日様子を伝えるから。……それから、ちゃんと飯は食うんだぞ? 大変な状況だとは思うが、こういう時こそ云々」

 うるせぇお前は俺の母親か。悪態をつきかけるも、ぐっと堪えた。良い奴じゃないか。間違いなく本物の母親よりも俺を案じてくれている。赤ちゃんプレイとかさせてくれるんじゃないだろうか。

「おい、聞いてるのか?」

「なんでちゅか、ママ」

 うっかり口を滑らせる。
 ぞぞぞ。そんな音が聞こえてきそうな勢いで霧衣が引いた表情を浮かべる。

「その、なんだ……疲れているのなら、休むのも大事だ。うん、それじゃあ、また……」

 それだけ言ってそそくさと去っていく。病んでる訳じゃねぇよ。
 追い掛けて弁明しようかとも思ったが、変なタイミングで瑛に切り替わられて、新たな誤解を生んでしまったらどうしようもないので、止めておいた。
 それに桃子ちゃんも気になる。俺に用があるらしいらしいが何だろうか。
 再び顔をだけを出して霧衣が去ったのを認めてから、彼女はようやくこちらへ向かってきた。

「今の……恋人か何かか?」

「え? いや、妹だ。……何だ? ひょっとして焼きもちか?」

「そんな訳あるか。ただ恋人だとしたら、良い気はしないだろう? 私だって女なのだから、勘違いされることだって有りえるだろう? なあ?」

「お、おう……」

 美少女めいた見た目はしているが、派手さはあまり感じられない桃子ちゃんだ、色恋沙汰には疎そうだと思っていた。そうでもないのか。
 ふーむ、やはり実は遊んで……いや、待て!
 これは罠だ!

「気を遣っていた振りをして、人見知りを誤魔化そうとしているな、貴様!」

「ばっ、馬鹿を言うな、そ、そんなこと……」

「いいや、そうに違いないね。瑛を恋人だと思って本当に気遣っていたのなら、あんな風に発見されやすい隠れ方をしないはずだ! そもそも聞くが、俺に恋人が居るように見えるか?」

「くっ……。それを言われると返す言葉もない……! 見えない! お前に恋人なんて居る訳がない! ああ、そうさ! 私が隠れていたのは気遣いなんかではなくて、人見知りのせいだ!」

 開き直った桃子ちゃんの言葉を最後に、俺達は黙った。
 互いに傷つくばかりで、何一つ得るものの無い会話だったな……。
 俺と桃子ちゃんは同時に溜息を漏らした。



10話目へ続く!


プロフィール

天沢

Author:天沢
マイペースですみません。
オリジナルの小説らしきものを書いています。
18歳未満閲覧禁止なのです。

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